『私、先に帰るね。』
『家で誕生日、祝ってくれるから・・・』
(って、誰も聞いてないし!)
(今日の集まりは、私の誕生日だからだよね??)
スクっと、立ちあがって、ダーリンになりそこねた男の横を過ぎる。
「どないしたん!?急に立ち上がって??」
「ショーベンか?」
「あっ、わかったマルキューに出勤やろ(笑)
女芸人、カナコ似なだけにぃ〜」
私は、鋭い目でにらみつける。
「そんな怖い顔したらアカンよ〜」
「俺の未来のハニーみたいに、スマイルせなぁ〜
そんな顔しとったら、恋も怖がって逃げるでぇ〜」
ムカッ!
たぶん、殺意って、こんな感じなんだろう。
全身の血が沸騰している湯わかしポットのようだ。
あとは、押すだけで、怒りが湯水のように、口からでるだろう。
もう、これ以上、ここにはいられない。
『ごめんねぇ〜、ちょっと用事があるからぁ〜』
そういって、そそくさと出口に歩いた。
(ちょっと、大人げなかったかな・・・・)
(せっかく、私の誕生日に集まってくれたんだから・・・)
店から出る間際、肩越しに、振り返った。
みんな、気にせず彼女を取り囲んで、楽しそう。
今日は、いつものテーブルに、私の居場所はないみたいだ。
少し駆け足で、歩道にでた。
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